インフルエンザについて
インフルエンザについて
専門医による診断・早期治療・合併症予防
「突然の高熱と悪寒が走った」「関節の節々が痛くて起き上がれない」…その症状、ただの風邪ではなく「インフルエンザ」かもしれません。
インフルエンザは、健康な方であれば自然治癒することも多いですが、肺炎や心筋梗塞などの合併症を引き起こし、重症化するリスクもあります。当院では、内科専門医が迅速な診断を行い、発症早期の抗インフルエンザ薬の処方から、二次感染の予防、自宅療養の指導まで、患者さんの状況に合わせた適切な治療をご提案いたします。
- 専門医による診断
- 早期治療・処方
- 合併症予防
- ワクチン接種対応
🦠 インフルエンザとは?
インフルエンザウイルスに感染することによって起こる気道感染症です。一般的な「風邪」がのどの痛みや鼻水から緩やかに始まるのに対し、インフルエンザはウイルスに感染してから1〜3日の潜伏期間を経て、突然の高熱や全身の倦怠感から始まるのが特徴です。
主にA型とB型が季節性に流行し、大人が感染すると仕事や家庭生活に大きな支障をきたすだけでなく、高齢者や持病のある方へ感染させてしまうリスクもあります。
🤒 インフルエンザの症状
最大の特徴は「急激な発症」と「強い全身症状」です。初期には呼吸器症状よりも、全身の症状が強く現れます。
⚠️ 重要
呼吸が苦しい、胸の痛みが続く、意識がぼんやりするといった症状がある場合は、肺炎や脳症などの重篤な合併症の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
診療の流れ
👨⚕️ 診察
発症時期や周囲の流行状況、症状の経過を問診し、全身状態を確認します。
🔬 検査
鼻の奥を綿棒で擦る迅速検査を行い、インフルエンザウイルスの有無を判定します。
📋 診断
検査結果と症状を総合的に判断し、インフルエンザの型(A型・B型)や重症度を診断します。
💊 治療
発症からの時間や重症度に応じて、抗インフルエンザ薬の処方や対症療法を行います。
🔬 検査と診断
インフルエンザの診断を確定させるために、以下の検査を行います。
🧪 迅速抗原検査
最も一般的な検査です。鼻の粘膜を綿棒で採取し、約10〜15分程度で結果が出ます。
🧬 呼吸器感染症パネル検査(PCR法など)
インフルエンザだけでなく、新型コロナウイルスやその他の呼吸器ウイルスを同時に検出できる高感度な検査です。診断が難しい場合や、高齢者・基礎疾患がある方で原因を特定する必要がある場合に検討されます。
※ 発症早期でも検出できる可能性が高い検査です。
🩸 血液検査(重症の場合)
炎症反応(CRP)や白血球数を確認し、細菌性肺炎などの合併症が起きていないかを判断します。
📸 胸部レントゲン・CT
咳がひどい場合や呼吸困難がある場合、肺炎を併発していないかを確認するために行います。
💊 治療法
🏠 基本治療(自宅療養)
💊 抗インフルエンザ薬
ウイルスの増殖を抑える薬です。発症から48時間以内に投与を開始することが推奨されます。
基本的にはオセルタミビル(タミフル)が最も標準的ですが、1回で済ませたい場合はバロキサビル(ゾフルーザ)やラニナミビル(イナビル)も選択肢になります。
※医師と相談の上、ご自身の状況に合った薬を選択してください。
🌡️ 解熱鎮痛剤
高熱や頭痛、関節痛を和らげます。(アセトアミノフェンなどが推奨されます)
💧 水分・安静
脱水を防ぐために十分な水分を摂り、外出を控えて体を休めます。
🏥 入院が必要な場合
以下のようなケースでは、入院による治療が必要となることがあります。
📊 インフルエンザの予後
✅ 通常は1週間程度で回復
抗インフルエンザ薬を適切に使用すれば、熱は2〜3日で下がります。ただし、咳や体のだるさは解熱後も数日続くことがあります。
⚠️ 二次感染のリスク
インフルエンザで気道粘膜が傷つくと、細菌に感染しやすくなります。解熱後に再び高熱が出た場合は、細菌性肺炎の疑いがあるため再受診が必要です。
🛡️ 感染拡大の防止
熱が下がってもウイルスは体内に残っています。発症後5日間かつ解熱後2日間は外出を控え、周囲への感染を防ぐことが重要です。
🛡️ 予防するために
インフルエンザは予防が可能な病気です。日々の心がけが感染リスクを下げます。
💉 ワクチン接種
重症化を防ぐ最も有効な手段です。流行前の10月〜12月の接種を推奨します。
💊 抗インフルエンザ薬の予防投与
家族や同僚が感染し、濃厚接触した場合に、発症前に薬を服用することで発症を防ぐ方法です。
※原則として自費診療(保険適用外)となります。受験や重要な仕事を控えている方、重症化リスクが高い高齢者や持病のある方などに推奨されます。
👏 手洗い・手指消毒
ウイルスは手から口や鼻へ侵入します。帰宅時や食事前の手洗いを徹底しましょう。
😷 マスク・咳エチケット
飛沫感染を防ぐため、人混みではマスクを着用しましょう。
💧 適度な湿度保持
空気が乾燥すると喉の防御機能が低下します。加湿器などで湿度50〜60%を保ちましょう。
🏥 重症化を防ぐために
インフルエンザは、「ただの風邪」と甘く見ていると、肺炎や持病の悪化を招き、命に関わることもあります。
特に「38度以上の急な発熱」や「強い関節痛」を感じた場合は、無理をして出社や家事を続けず、早めに当院にご相談ください。
⏰ 発症48時間以内の治療開始が、早期回復の鍵となります。
Q&A(よくあるご質問)
📋 感染・リスク
主に感染者の咳やくしゃみを吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスが付着した手で触れる「接触感染」です。
はい。インフルエンザウイルスは頻繁に変異し、型が複数あるため、毎年かかる可能性があります。
症状や治療法に大きな違いはありません。どちらも高熱、関節痛、倦怠感などが現れます。
一般的に、A型は変異しやすく大規模な流行を起こしやすいのが特徴で、シーズンの早い時期(12月〜1月頃)に流行する傾向があります。B型はシーズンの遅い時期(2月〜3月頃)に流行することが多く、一度A型にかかった後にB型にかかることもあります。
治療薬(タミフル、イナビルなど)はどちらの型にも有効ですので、対応に変わりはありません。
大人では稀です。インフルエンザは主に「呼吸器(のど、鼻、肺)」の病気であり、大人の場合、下痢や嘔吐といった消化器症状が出ることは一般的ではありません(子供では10〜20%程度に見られます)。
ただし、流行するウイルスの種類によっては、大人でも消化器症状が出ることがあります。もし激しい下痢や嘔吐が主症状の場合は、ウイルス性胃腸炎(ノロウイルスなど)の可能性も考えられますので、診察時に医師にお伝えください。
💊 治療・薬について
発症直後(12時間以内)はウイルス量が少なく、偽陰性(本当は陽性なのに陰性と出る)になることがあります。症状が続く場合は翌日の再検査をお勧めすることがあります。
必須ではありませんが、発症48時間以内に服用することで症状が軽く済み、有熱期間を1〜2日短縮できます。高齢者や持病のある方には強く推奨します。
周囲の流行状況やリスクによります。
インフルエンザは必ずしも高熱が出るとは限りません。特に高齢者やワクチン接種済みの方は、微熱や無熱で経過することもあります。
ご家族や職場など周囲で流行している場合や、高齢者・基礎疾患をお持ちの方と同居されている場合は、軽症でも検査を受けて確定診断をつける意義があります。まずは電話でご相談ください。
発症後12時間〜48時間以内が最適です。
一般的な迅速抗原検査は、体内のウイルス量がある程度増えないと反応しないため、発症直後(12時間以内)は偽陰性になる可能性があります。
一方で、治療薬は48時間以内に服用しないと効果が薄れるため、検査のタイミングを逃さないことが重要です。
🛡️ 濃厚接触・予防投与
基本的な感染対策(マスク、手洗い、換気、隔離)に加え、「抗インフルエンザ薬の予防投与」という選択肢があります。
インフルエンザ治療薬(タミフル、イナビルなど)を発症する前に使用することで、発症リスクを70〜90%低減できるとされています。
ただし、これは病気にかかってからの治療ではないため、健康保険は適用されず全額自費(自由診療)となります。
感染者と最後に接触してから48時間以内に開始する必要があります。ウイルスが増殖しきる前に対応することが重要です。ご希望の場合は、来院前に電話で「濃厚接触者としての予防投与希望」とお伝えください。
🏃 生活・復帰
学校保健安全法により、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が出席停止期間と定められています。熱が下がっても、発症から5日間はウイルスを排出している可能性があるため、両方の条件を満たすまでは登校を控えてください。
社会人の場合、法律による一律の決まりはありませんが、多くの企業が学校保健安全法の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を参考に就業規則を定めています。
医師の指示通り「解熱後2日」は感染力が下がる重要な目安ですが、発症から5日経っていない場合はまだ周囲に感染させるリスクがあります。まずは勤務先の就業規則を確認し、上司に相談することをお勧めします。
感染者は個室で過ごし、部屋の換気をこまめに行ってください。看病する方はマスクを着用し、感染者の使用した食器やタオルは共用しないでください。
⚠️ 合併症
最も多いのは「肺炎(ウイルス性・細菌性)」です。その他、心筋炎や、稀ですがインフルエンザ脳症を起こすこともあります。
「二峰性発熱」といってインフルエンザ特有の経過の場合もありますが、細菌性肺炎などの合併症を起こしている可能性もあります。早急に再受診してください。
参考文献
- Uyeki TM, et al. Clin Infect Dis. 2019;68(6):e1-e47.
- Dobson J, et al. Lancet. 2015;385(9979):1729-1737.
- Hayden FG, et al. N Engl J Med. 2018;379(10):913-923.
- Kwong JC, et al. N Engl J Med. 2018;378(4):345-353.
- Aoki FY, et al. J Antimicrob Chemother. 2003;51(1):123-129.
- 日本感染症学会「インフルエンザ診療ガイドライン」
- 厚生労働省「インフルエンザQ&A」
✍️ この記事を書いた人
古畑 司(ふるはた つかさ)
保有資格