ニキビについて

ニキビ(尋常性ざ瘡)は、毛穴の詰まりとアクネ菌の増殖により起こる皮膚の病気です。この記事では、ニキビの原因・症状・治療法について医学的な情報をわかりやすく解説します

ニキビ(尋常性ざ瘡)について

原因・症状・治療法をわかりやすく解説

「市販薬を塗っても繰り返す」「マスクの下で肌荒れが悪化している」…その肌トラブル、体質だからと諦めていませんか?それは「ニキビ(尋常性ざ瘡)」という皮膚の病気かもしれません。

ニキビは、ホルモンバランスやストレスが複雑に関与しており、間違ったセルフケアは炎症を悪化させ、一生残る「クレーター(凹凸)」「色素沈着」の原因となります。この記事では、ニキビの原因から最新の治療法まで、医学的な情報をわかりやすく解説します。

⚠️ 本記事について

この記事は医学的知識の提供を目的としています。当院は内科であり、ニキビの専門的な診療は行っておりません。

症状にお悩みの方は、お近くの皮膚科専門医をご受診ください。

🤕 ニキビの進行と症状

最大の特徴は「段階的に悪化する」ことです。初期の毛穴詰まりから、炎症を伴う赤ニキビへと進行します。

ニキビの進行段階
🥚 白ニキビ(面ぽう)

毛穴が詰まり、皮脂が白く透けて見える初期段階。痛みはありません。

黒ニキビ

毛穴が開き、酸化した皮脂が黒く見える状態。

🔴 赤ニキビ(炎症)

アクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れ上がった状態。痛みや熱感を伴います。

🟡 黄ニキビ(化膿)

炎症が激しくなり、膿(うみ)が溜まった状態。毛穴の壁が壊れ、ニキビ跡になるリスクが高い状態です。

⚠️ 重要

無理に潰したり、自己判断で強いピーリングを行ったりすると、炎症が周囲に広がり、凹凸のある傷跡(クレーター)や色素沈着が残る可能性が高まります。赤みや痛みが強い場合は、速やかに皮膚科を受診してください。

🏫 思春期ニキビ(10代)の特徴と対策

10代のニキビは、第二次性徴に伴う性ホルモン(アンドロゲン)の急激な増加により、皮脂腺が肥大化して皮脂が過剰に出ることが主な原因です。

🛡️ 思春期の対策ポイント

🫧

こすらない洗顔

皮脂を落とそうとゴシゴシ洗うのは逆効果です。たっぷりの泡で優しく洗いましょう。

💊

早期の薬物療法

「若いうちは仕方がない」と放置するとクレーター状の跡になり、一生残ってしまいます。皮膚科で処方されるディフェリンやベピオなどの外用薬は、若い肌の毛穴詰まりに非常に有効です。

👨‍👩‍👧‍👦 親御様へのお願い

処方される外用薬は、使い始めに「乾燥」「ヒリヒリ」が出やすく、お子様が自己判断で止めてしまうケースが多く見られます。

「これは薬が効いている証拠だよ」「保湿をしっかりしようね」と声をかけ、治療を続けられるようサポートをお願いいたします。

🏥 皮膚科での一般的な診療の流れ

STEP 1
👨‍⚕️ 診察

発症時期、生理周期との関連、使用中のスキンケア用品、生活習慣などを問診し、肌の状態を目視で確認します。

STEP 2
🔬 検査(必要な場合)

通常のニキビか、マラセチア毛包炎などの別の疾患かを判別するため、必要に応じて顕微鏡検査や培養検査を行う場合があります。

STEP 3
📋 診断

ニキビの進行度(重症度分類)を判定し、保険診療を中心とした治療方針を決定します。

STEP 4
💊 治療

炎症を抑える「急性期治療」と、再発を防ぐ「維持療法」を組み合わせ、内服薬・外用薬の処方や生活指導を行います。

💊 治療法(詳しい解説)

ニキビ治療薬

皮膚科での治療は大きく分けて、「塗り薬(外用薬)」「飲み薬(内服薬)」「その他の処置(施術)」の3つがあり、重症度や肌質に合わせてこれらを組み合わせます。

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🧴 塗り薬(外用薬):治療の基本

ニキビ治療の土台となるもので、軽症から重症までほぼすべての患者さんに使われます。

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アダパレン(商品名:ディフェリンなど)

仕組み

ビタミンA誘導体です。毛穴の皮膚が厚くなる(角化異常)のを防ぎ、毛穴の詰まりを取り除きます。目に見えない「ニキビの始まり(微小面皰)」も治すため、新しいニキビができるのを防ぐ予防効果が高いです。

特徴

治った後の「維持療法」として最も重要です。

注意

使い始めに赤みや皮むけ、ヒリヒリ感が出やすいですが、多くの場合は続けていくうちに肌が慣れます。

🫧

過酸化ベンゾイル(商品名:ベピオなど)

仕組み

強力な酸化作用により、ニキビ菌(アクネ菌)を殺菌します。また、軽いピーリング作用(角層剥離作用)もあり、毛穴の詰まりを改善します。

特徴

抗生物質ではないため、長期間使っても菌が薬に慣れて効かなくなる(耐性菌)心配がありません。

注意

漂白作用があるため、髪の毛や服につくと色が抜けることがあります。

🦠

外用抗菌薬(商品名:クリンダマイシン、ナジフロキサシンなど)

仕組み

アクネ菌の増殖を抑え、炎症(赤み・腫れ)を鎮めます。

特徴

赤ニキビに有効ですが、単独で長く使い続けると「耐性菌」ができやすくなります。そのため、過酸化ベンゾイルやアダパレンと一緒に使うことが強く推奨されています。

配合剤(商品名:エピデュオ、デュアックなど)

上記のアダパレンと過酸化ベンゾイル、あるいは抗菌薬と過酸化ベンゾイルをあらかじめ混ぜた薬です。別々に塗る手間が省け、単剤で使うよりも高い効果が期待できます。

💊 飲み薬(内服薬):中等症〜重症向け

塗り薬だけでは炎症が抑えられない場合や、範囲が広い場合(背中など)に使われます。

💊

抗菌薬(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)

仕組み

アクネ菌を減らすだけでなく、炎症そのものを抑える作用があります。

注意

耐性菌を防ぐため、漫然と続けず、通常は3ヶ月程度を目安に使用し、改善したら塗り薬だけの治療へ切り替えていくことが推奨されています。

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ホルモン療法(スピロノラクトン、低用量ピル)女性のみ

仕組み

男性ホルモンの働きを抑えることで、過剰な皮脂分泌を減少させます。

対象

生理周期で悪化するニキビや、成人の女性で他の治療が効きにくい場合に選択肢となります(日本では保険適用外の場合が多いです)。

イソトレチノイン(アキュテインなど)

仕組み

皮脂腺を劇的に縮小させ、皮脂の分泌を止めます。ニキビの原因(皮脂、角化、菌、炎症)すべてに作用する強力な薬です。

位置づけ

重症や難治性のニキビに対する「切り札」ですが、胎児への影響(催奇形性)などの副作用管理が必要なため、日本では保険適用外であり、専門医の厳重な管理下でのみ使用されます。

ニキビ跡(あと)が残ったときの治療法

ニキビ跡には「赤み」「茶色いシミ」「へこみ(クレーター)」「しこり」の4タイプがあり、それぞれ治療法が異なります。

⚠️

多くの専門的な治療(レーザーなど)は、日本の保険診療の対象外(自費診療)となることが一般的です。

🔴

赤み(炎症後紅斑)

ニキビの炎症で毛細血管が開いたり増えたりした状態です。

治療

通常は時間とともに薄くなりますが、早く治すために色素レーザー(Vビームなど)光治療(IPL)を行うことがあります。

🟤

茶色いシミ(色素沈着)

炎症によってメラニン色素が残ってしまった状態です。

治療

日焼け止めを塗って悪化を防ぐことが最も重要です。治療としては、トレチノインハイドロキノン、ケミカルピーリングなどが用いられます。

🕳️

へこみ・クレーター(萎縮性瘢痕)

皮膚の奥(真皮)が破壊されて、肌がボコボコとへこんでしまった状態です。外用薬だけで治すのは難しく、専門的な処置が必要です。

フラクショナルレーザー

レーザーで皮膚に小さな穴を開け、肌の再生を促してへこみを持ち上げます。

ケミカルピーリング(TCAピーリングなど)

酸性の薬剤を塗って皮膚表面を溶かし、再生を促します。

局所的な手術(サブシジョンなど)

深いへこみを切り取って縫い合わせたり、皮膚の下で癒着している繊維を切ったりする外科的な方法です。

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しこり・盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)

治る過程でコラーゲンが作られすぎて、硬く盛り上がってしまった状態です(フェイスラインや胸、背中にできやすい)。

治療

ステロイド(ケナコルトなど)の局所注射が第一選択です。盛り上がった部分に直接注射して平らにします。その他、ステロイドのテープや内服薬が使われることもあります。

🔧 その他の処置(補助的な治療)

薬の効果を助けたり、今ある大きなニキビを早く治すために行われます。

🔍

面皰圧出(コメドプッシャー)

専用の器具で毛穴に詰まった皮脂や膿を物理的に押し出します。炎症を早く引かせる効果があります。

💉

ステロイド局所注射

大きく腫れてしこりになったニキビ(嚢腫・結節)に対し、直接ステロイド薬を注射して急速に炎症を鎮めます

🧪

ケミカルピーリング

酸(サリチル酸やグリコール酸)を塗布して古い角質を取り除き、毛穴の詰まりを解消します。

🔄 維持療法の重要性

ニキビ治療で大切なのは、「赤みが引いたら終わり」にしないことです。

見た目にニキビがなくなっても、肌の下にはニキビの種(微小面皰)が残っています。これを放置するとすぐに再発してしまいます。そのため、飲み薬や抗菌薬の塗り薬が終わった後も、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの塗り薬を顔全体に塗り続ける「維持療法」を行うことが、ニキビのできない肌を作る鍵となります。

👨‍⚕️

アドバイス:「もう治ったかな?」と思っても、自己判断で薬をやめずに医師に相談してください。

🛡️ 予防するために

ニキビ予防

ニキビは日々の生活習慣と正しいスキンケアでリスクを下げることができます。

🧴

ノンコメドジェニック製品の使用

「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記された、毛穴を詰まらせにくい化粧品や日焼け止めを選びましょう。

☁️

正しい洗顔

ゴシゴシ洗いは厳禁です。たっぷりの泡で優しく洗い、ぬるま湯ですすぎ残しのないように流します。1日2回が目安です。

💆‍♀️

ストレス管理・睡眠

ストレスや睡眠不足はホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を過剰にします。質の良い睡眠(成長ホルモンの分泌)が肌の修復を助けます。

💡 ニキビでお悩みの方へ

ニキビは「青春のシンボル」ではなく、医学的な治療が必要な「皮膚の病気」です。自己判断でケアを続けるよりも、皮膚科専門医による適切な診断と治療を受けることが、きれいに治すための最短ルートです。

正しい知識を持ち、根気よく治療を続けることで、ニキビは必ず良くなります。あきらめずに、まずは専門医に相談してみてください。

この記事が、ニキビに悩む皆さんの一助になれば幸いです。

よくあるご質問

🌸 小学生・中学生のニキビ対策

A

早めの受診をおすすめします。

小学校高学年〜中学生は、第二次性徴に伴うホルモンバランスの変化でニキビができやすい時期です。「青春のシンボル」と放置すると、炎症が悪化して一生残るニキビ跡(クレーター)になるリスクがあります。

早めに皮膚科で適切な薬(ディフェリンなどの毛穴の詰まりを取る薬)を処方してもらうことで、重症化を防ぎ、きれいな肌を保つことができます。

📋 原因・リスクについて

A

人に感染することはありません。アクネ菌は誰の皮膚にも存在する常在菌であり、毛穴が詰まる条件が揃うことで炎症を起こします。

A

特定の食べ物を一律に制限することは「推奨しない」とされています。

チョコレートが悪化させるという科学的な根拠は証明されていません。一部の研究で、牛乳(特に低脂肪乳・無脂肪乳)や高GI食(血糖値を急激に上げる炭水化物など)がニキビに関連する可能性が示唆されていますが、明確な結論には至っていません。

極端な制限はせず、バランスの良い食事を心がけてください。もし「これを食べると悪化する」と感じる食品があれば、個別に調整しましょう。

💊 治療・薬について

A

「サプリメント」と「医療用の薬」で扱いが全く異なります。

1. サプリメント(ビタミンAそのもの)

推奨されていません:単なるビタミンAの内服がニキビに効くという十分な医学的根拠はありません。ニキビに効くほどの量を摂取しようとすると過剰摂取になり、肝障害などの副作用が出る危険性が高いため、治療としては行われません。

2. 医療用の薬(ビタミンA誘導体/レチノイド)

こちらは「ニキビ治療の切り札」とも言えるほど非常に効果があります。

塗り薬(アダパレンなど):日本でも標準治療として強く推奨されています。毛穴の詰まり(面皰)を改善する高い効果があります。

飲み薬(イソトレチノイン):重症ニキビに対する「唯一、永続的にニキビの経過を変えうる薬」として世界的に使われています。副作用が強いため、医師の厳重な管理下で使われます。

つまり、「サプリで摂るのは効果・安全面でお勧めしませんが、皮膚科で処方されるビタミンA系の薬(ディフェリンなど)は非常に効果的」です。

A

薬の副作用(刺激)を和らげ、治療を長く続けるためです。

ニキビ治療薬(特にディフェリンやベピオ)は、効果が高い反面、使い始めに「乾燥」や「ヒリヒリ」が出やすい特徴があります。

洗顔後、素肌に直接塗るよりも、化粧水や乳液でしっかり保湿をして「肌のバリア」を作ってから塗ることで、薬の効果を落とさずに刺激だけを和らげることができます。「痛くて続けられない」という事態を防ぐための、大切な工夫です。

A

赤ニキビが治っても、最低1年は続けることをお勧めします。

見た目がきれいになっても、顕微鏡レベルでは「ニキビの卵(微小面ぽう)」が残っていることが多いです。ここでやめると数ヶ月で再発するリスクが高まります。

「維持療法」として、攻めの治療から守りの治療へシフトしながら長く付き合っていく薬ですので、自己判断で中止せず、医師と相談しながら減らしていくことが大切です。

A

ピーリング作用のある薬は、使い始めに赤みや乾燥、皮剥けといった「随伴症状」が出ることがあります。

多くは1〜2週間で落ち着きますが、自己判断で中止せず、保湿を強化するか医師に相談して使用頻度を調整してください。

⚠️ ニキビ跡について

A

赤み(炎症後紅斑)茶色いシミ(色素沈着)は、時間とともに薄くなりますが、数ヶ月〜年単位かかることがあります。

凹み(クレーター)になってしまった場合は、自然治癒が難しく、専門的な治療が必要になることがあります。

参考文献

  1. Hayashi N, et al. J Dermatol. 2017;44(9):999-1017.
  2. Zaenglein AL, et al. J Am Acad Dermatol. 2016;74(5):945-73.
  3. Thiboutot DM, et al. J Am Acad Dermatol. 2018;78(2):S1-S23.
  4. Dréno B, et al. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2017;31(9):1392-1406.
  5. Tan J, et al. J Cutan Med Surg. 2017;21(2):104-115.
  6. 日本皮膚科学会「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」

✍️ この記事を書いた人

古畑 司 - 消化器病専門医・内視鏡専門医
古畑 司
(ふるはた つかさ)
保有資格
消化器病専門医 内視鏡専門医 総合内科専門医 肝臓専門医
消化器病専門医、内視鏡専門医に加え、総合内科専門医、肝臓専門医としての知見も活かし、患者さんの腹痛の原因を専門家として「的確に診断・治療」することに尽力しております。