胃・十二指腸潰瘍について

胃がキリキリ痛む、空腹時にみぞおちがシクシクする――そんな症状は消化性潰瘍のサインかもしれません。原因から最新治療まで、消化器専門医がわかりやすく解説します

胃・十二指腸潰瘍

原因から最新治療までを専門医が徹底解説

「胃がキリキリ痛む」「空腹時にみぞおちがシクシクする」――そんな症状にお悩みではありませんか?もしかしたら、それは消化性潰瘍のサインかもしれません。

消化性潰瘍は、適切な検査と治療を行えば多くの場合きれいに治癒する病気ですが、放置すると出血や穿孔などの重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。

当院では消化器病専門医・内視鏡専門医が、胃カメラによる正確な診断から、ピロリ菌の除菌治療・薬物療法まで一貫して対応します。池尻大橋駅から徒歩3分、お気軽にご相談ください。

  • 💊 専門医
  • 🔬 胃カメラ・即日
  • 🦠 ピロリ菌除菌
  • 🏥 入院設備あり

📖 胃・十二指腸潰瘍とは?

🔍 胃や十二指腸の壁が深く傷ついた状態

消化性潰瘍とは、胃酸などによって胃または十二指腸の粘膜が深くえぐられて傷ついた状態のことです。

粘膜の表面が少し荒れているだけの「びらん」とは異なり、粘膜の下の層(粘膜筋板)を越えて深く傷が達したものを「潰瘍」と呼びます。

びらんと潰瘍の違い

潰瘍の確定診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が不可欠です。粘膜の状態を直接観察し、がんとの鑑別や出血の評価も同時に行います。

⚠️ 症状について

胃・十二指腸潰瘍の症状

🔍 1. 典型的な症状(腹痛)

最も一般的な症状は「みぞおち(心窩部)の痛み」です。「焼けるような」「差し込むような」「うずくような」と表現される痛みや不快感が特徴です。

消化性潰瘍の約70%は無症状であり、特に高齢者痛み止め(NSAIDs)を常用している方は、痛みを感じにくい傾向があります。「痛くないから大丈夫」と思っていても、ある日突然、吐血などの合併症で発見されることがあるため注意が必要です。

一般的に、胃潰瘍は食後に痛む傾向があり、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に痛むのが特徴です。

🩸 2. 危険なサイン(合併症の兆候)

以下の症状がある場合は、緊急性が高いため直ちに医療機関を受診してください。

  • 🤮 吐血 ― コーヒー残渣様の嘔吐
  • 黒色便(タール便) ― 真っ黒なドロドロの便
  • 😵 貧血症状 ― めまい・立ちくらみ
  • 激しい腹痛 ― 穿孔の可能性
  • 🤢 頻回な嘔吐 ― 狭窄の可能性
  • 📉 体重減少 ― 原因不明の減少
📅

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🔬 主な原因は?

胃・十二指腸潰瘍の原因

消化性潰瘍には、主に二つの大きな原因があります。

🦠

ピロリ菌の感染

胃の粘膜に生息する細菌で、胃酸の分泌増加や粘膜の防御機能低下を引き起こします。感染者の約10〜15%が潰瘍を発症します。

日本ではピロリ菌の感染率は低下傾向にあります。

💊

痛み止め(NSAIDs)

胃粘膜を保護する物質の生成を妨げ、潰瘍リスクが約4倍に増加。自覚症状がないまま出血で見つかることも。

ロキソニン、イブプロフェン、ボルタレン、アスピリンなどが該当します。

⚠️ ピロリ菌 + NSAIDsの両方に当てはまる場合、潰瘍や出血のリスクがさらに高まることが知られています。

📋 その他のリスク因子

💉
薬剤

ステロイド、抗血小板薬、一部の骨粗しょう症治療薬、抗うつ薬(SSRI)など

🚬
生活習慣

喫煙、過度な飲酒、精神的ストレスなど

🏥
身体的ストレス

大きな手術、重度の火傷、頭部外傷など

⚗️
胃酸分泌過剰

ガストリン産生腫瘍(ゾリンジャー・エリソン症候群)など

🔥
炎症性疾患

クローン病、好酸球性胃腸炎など

🦠
感染症

サイトメガロウイルスなど、ピロリ菌以外の感染

🩸
虚血

動脈硬化などによる消化管の血流障害

🏥 診療の流れ

胃・十二指腸潰瘍の診療の流れ
STEP 1

👨‍⚕️ 問診・診察

痛みのタイミング(食後・空腹時・夜間)、NSAIDsの服用歴、ピロリ菌の既往などを詳しく伺います。腹部の触診で圧痛の部位も確認します。

STEP 2

🔬 胃カメラ

確定診断に不可欠な検査です。潰瘍の場所・大きさ・深さを直接観察し、がんとの鑑別のための組織採取(生検)やピロリ菌検査も同時に行います。

STEP 3

📋 診断・治療方針の決定

検査結果をもとに、潰瘍の原因(ピロリ菌・NSAIDs・その他)を特定し、最適な治療方針をご説明します。

STEP 4

💊 治療

胃酸を抑える薬(PPI・ボノプラザン)による治療を開始します。ピロリ菌陽性の場合は除菌治療、NSAIDsが原因の場合は薬の見直しも行います。

STEP 5

🔄 経過観察・再発予防

治療後は内視鏡で治癒を確認します。除菌の成否判定や、再発を防ぐための生活指導も行います。

検査と診断

検査と診断イメージ

胃・十二指腸潰瘍が疑われる場合、以下の検査を行います。

👨‍⚕️ 問診・身体診察

痛みのタイミング(食後か空腹時か)、NSAIDs(痛み止め)の服用歴、ピロリ菌の治療歴、飲酒・喫煙の習慣などを詳しく伺います。また、腹部の触診でみぞおちの圧痛の有無を確認します。

🩸 血液検査

貧血がないか(消化管出血の有無)、炎症の程度(白血球数やCRP)や他の病気がないかを調べます。

🔍 胃カメラ

潰瘍の場所・大きさ・深さを正確に確認するとともに、胃潰瘍の場合はがんの可能性を否定するために組織の一部を採取(生検)します。出血がある場合は、その場で内視鏡的止血術を行うこともできます。

🔬 腹部超音波(エコー)・CT検査

胆嚢炎、憩室炎、虫垂炎、膵炎など他の疾患との鑑別や、胃・十二指腸に穴があいていないかをCTで確認します。

🦠 ピロリ菌検査

潰瘍の原因がピロリ菌かどうかを特定するための検査です。血液検査(抗体測定)、呼気試験(尿素呼気テスト)、便中抗原検査などがあり、症状や状況に応じて最適な方法を選択します。

💊 胃・十二指腸潰瘍の治療法

胃・十二指腸潰瘍の治療

💉 胃酸を抑える薬(PPI、ボノプラザンなど)

現在の潰瘍治療の主役は、胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やボノプラザン(P-CAB)です。これらの薬で潰瘍の痛みを速やかに和らげ、治癒を促します。

🦠 ピロリ菌陽性の場合:除菌治療

ピロリ菌が陽性の場合は、潰瘍の再発を防ぐために除菌治療が不可欠です。胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を1週間服用します。除菌に成功すれば、潰瘍の再発率は劇的に低下します。

💊 お薬の調整

NSAIDsが原因の場合、可能であれば原因薬剤の中止・変更が原則です。中止が難しい場合は、胃への負担が少ない薬への変更や、胃薬を併用して潰瘍の発生を予防します。

⚠️ 合併症の治療

消化性潰瘍を放置すると、下記のような重大な合併症を引き起こす可能性があります。

🩸 出血

潰瘍から血が出ること。吐血や黒色便の原因となります。内視鏡を使って止血を行います。

🕳️ 穿孔

潰瘍が深くなり、胃や十二指腸の壁に穴が開くこと。激しい腹痛を伴い、緊急手術が必要です。

🔄 狭窄

潰瘍の傷跡で食べ物の通り道が狭くなること。吐き気や嘔吐の原因となり、内視鏡による拡張術などが行われます。

🩺 早めの受診を

古畑病院 外観

消化性潰瘍は、適切な検査と治療を行えば、多くの場合きれいに治癒する病気です。しかし、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。

みぞおちの痛みや胸やけなど、気になる症状があれば自己判断で済ませず、ぜひ一度、消化器内科を受診してください。特に、痛み止めを日常的に服用している方や、過去にピロリ菌を指摘されたことがある方は注意が必要です。

当院は池尻大橋駅から徒歩3分。渋谷・三軒茶屋・中目黒からもアクセス良好です。早期発見・早期治療で、健康な毎日を取り戻しましょう。

よくあるご質問

A

いいえ、胃カメラ(内視鏡検査)を受けることを強くお勧めします。CT検査は肝臓や膵臓などの実質臓器や、胃に穴が開く「穿孔」などの大きな異常を見つけるのには優れていますが、粘膜の表面にできる浅い潰瘍や早期の胃がん、胃炎などの変化を捉えるのは苦手です。「CTで異常なし」でも、胃カメラで見ると病変が見つかることはよくあります。

A

痛みがなくても潰瘍ができていることがあります(無症候性潰瘍)。消化性潰瘍の約70%は無症状であるとも言われています。特に、高齢者の方や痛み止め(NSAIDs)を常用している方は痛みを感じにくく、気づかないうちに病状が進行し、突然の吐血や下血で発見されることも少なくありません。定期的な検査が重要です。

A

ストレスは「悪化因子」ですが、単独の原因になることは稀です。現在はピロリ菌感染や痛み止め(NSAIDs)が根本的な原因の90%以上を占めることがわかっています。

ただし、強い身体的ストレス(大手術、重篤な感染症、火傷など)は急性の潰瘍(ストレス潰瘍)の原因となります。精神的ストレスは、胃酸分泌を増やし血流を悪くするため、あくまで発症や悪化の「きっかけ」となります。

A

はい、典型的な痛みのパターンに違いがあります。胃潰瘍は食事中や食後に痛むことが多く(食べ物が潰瘍を刺激するため)、十二指腸潰瘍は空腹時や夜間に痛むことが特徴です(胃酸が直接潰瘍を刺激するため)。食事を摂ると胃酸が中和され、痛みが一時的に和らぐことがあります。

A

胃薬の併用などでリスクを管理しながら継続する方法があります。腰痛や関節痛、心筋梗塞予防(低用量アスピリン)などでNSAIDsの中止が難しい場合は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの強力な胃薬を併用することで、潰瘍の予防・再発防止が可能です。自己判断で中止せず、主治医と相談してください。

A

治療中は控えるべきですが、治癒後は適量なら問題ありません。

高濃度のアルコールは胃粘膜を直接傷つけるため、治療中や活動期は控えてください。治癒後は適量(1日1杯程度)であれば大きな影響はないとされています。

コーヒーに含まれるカフェインは胃酸分泌を刺激するため、空腹時の摂取や飲み過ぎは避けたほうが無難です。

A

潰瘍そのものが「がん」に変わることは基本的にありません。しかし、「良性の潰瘍に見えて、実は形が似ている胃がん(潰瘍変形を伴う胃がん)だった」というケースがあります。

そのため、診断時に組織の一部を採取(生検)して良性・悪性を確認することが非常に重要です。また、ピロリ菌感染による慢性胃炎自体は胃がんのリスク因子ですので、除菌後も定期的な内視鏡検査をお勧めします。

A

胃や十二指腸からの出血のサイン(タール便)の可能性があります。胃酸と混ざった血液は時間が経つと黒く変色するため、胃や十二指腸から出血すると、海苔の佃煮のような真っ黒でドロっとした便が出ます。これは緊急性が高いサインです。めまいやふらつきを伴う場合は、至急医療機関を受診してください。

A

「特発性潰瘍」の可能性があります。ピロリ菌もNSAIDsも原因ではない潰瘍は全体の数%〜10%程度存在し、近年増加傾向にあります。

考えられる原因として、骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート製剤)や抗血栓薬、ステロイド薬などの他の薬剤の影響、クローン病や虚血、ホルモン異常(ゾリンジャー・エリソン症候群)などの他の病気、また実際は感染しているのに胃薬の影響などで検査結果がたまたま陰性に出てしまったピロリ菌の「偽陰性」などがあります。

原因を特定するため、より詳しい問診や追加の検査が必要になることがあります。

参考文献

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  14. Hung LC, et al. Gastroenterology. 2005;128:1845-1850.

✍️ この記事を書いた人

古畑 司 - 消化器病専門医・内視鏡専門医

古畑 司(ふるはた つかさ)

保有資格

消化器病専門医 内視鏡専門医 総合内科専門医 肝臓専門医

消化器病専門医、内視鏡専門医に加え、総合内科専門医、肝臓専門医としての知見も活かし、患者さんの症状を専門家として「的確に診断・治療」することに尽力しております。