専門医が解説! 便潜血検査について

 本稿では、消化器専門医の立場から、大腸がんの早期発見に不可欠な「便潜血検査」について、その重要性から結果の正しい解釈まで、詳しく解説します。

便潜血検査はどうのような検査?

 便潜血検査は、便に混じった目に見えない微量の血液を検出する簡単な検査です。大腸がんポリープがあると微量の出血をすることがあり、この「隠れた血液」を手がかりに病気の早期発見を目指します。大腸がんは初期には自覚症状がほとんどないため、症状が出る前に発見できるこの検査は非常に重要です。もし、便潜血が陽性の場合、がんの可能性があるため、大腸カメラでの精密検査が強く推奨されます。

どんな人が検査を受けるべき?

一般的に、40歳以上の方は、症状がなくても年に一度、定期的に検査を受けることが推奨されます。

特に、以下に当てはまる方は、積極的に検査を受けることをお勧めします。

 👨‍👩‍👧‍👦ご家族(血縁者)に大腸がんやポリープの治療を受けた方がいる

 🥩赤身肉や加工肉をよく食べる

 🥗野菜や果物をあまり食べない

 ⚖️肥満気味である

 🚬喫煙の習慣がある

 🍺お酒をよく飲む

検査を受けるにあたって

  •  ご自宅で便の表面をこすって採取し、提出するだけです。
  • 現在主流の検査方法(免疫法)は、ヒトの血液にのみ反応するため、肉や魚などの食事制限は特にありません。
  • ただし、ビタミンCのサプリメントなどを大量に摂取している場合は、正しい結果が出ない可能性がありますので、事前に医師にご相談ください。

検査結果について

「陽性(+)」と判定された方へ

「陽性」という結果は、「便に血液が混じっている」というサインです。陽性の場合、大腸がん、痔や大腸の炎症、良性のポリープなどが原因であることの方が多くあります。

 大規模な研究データでは、陽性になった方のうち、

  • 進行したポリープや大腸がん(進行性腫瘍)が見つかったのは16.0%(約6人に1人)
  • 大腸がんが見つかったのは4.2%(約24人に1人)

でした。

 つまり、陽性であっても多くはがんではありませんが、陰性だった人と比べて、大腸がんが見つかるリスクは約32倍も高いというデータもあり、放置はできません。

 そのため、陽性の原因を特定するために、必ず精密検査として、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることが重要です。 陽性反応を放置せず、医師の指示に従って次のステップに進みましょう。

「陰性(-)」と判定された方へ

「陰性」という結果は、「今回の検査では便から血液が検出されなかった」ということです。

これは大きな安心材料ですが、この検査も100%完璧ではありません。

 

 便潜血が陰性だった方の中に、ポリープやがんが見逃される可能性は2.6%(約38人に1人)、がんに限れば0.13%(約770人に1人)と報告されています。リスクは非常に低いものの、ゼロではないことが分かります。

 また、複数の研究報告をまとめた分析によると、1回の便潜血検査では、そこに存在する大腸がんの約20%(5人に1人程度)を見逃される可能性があると報告されています。これは、がんが常に出血しているわけではないことなどが主な原因です。 

「陰性」であっても、「がんの心配が全くない」という証明にはなりません。将来のがん予防のためには、まず「陰性」であっても決して安心せず、ご家族に大腸がんの方がいるなど、特にリスクが高い方やご心配な方は、医師と相談の上で大腸内視鏡検査を検討することも一つの選択肢です。

大腸カメラについて

 便潜血が陽性の場合、大腸カメラでの精密検査が強く推奨されます。大腸カメラでは、腸の内部(粘膜)を直接カメラで観察し、下痢の原因を正確に突き止めるための最も重要な検査の一つです。腸の粘膜を直接観察するだけでなく、必要に応じて組織の一部を採取(生検)して顕微鏡で調べることができます。

大腸カメラをうけるには?

 まず医師との診察でご相談いただき、検査の必要性を判断した上でご予約を承っております。安全な検査のため、お薬のお渡しなどもございますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

ご予約方法

ご都合の良い方法で、事前診察のご予約をお願いいたします。

WEB予約:24時間受付(検査日は別日となります)


▼ お電話でのご予約

お電話でも診察のご予約を承っております。

 TEL:03-3424-0705 受付時間: 月~土 8:30~17:30 (日・祝日を除く)


より詳しい検査内容については、▶大腸カメラ(大腸内視鏡検査)のページでもご確認いただけます

 ご自身の健康を守るため、便潜血検査を正しく理解し、定期的に受診しましょう。
ご不明な点や心配なことがあれば、いつでも医師や看護師にお尋ねください。