下痢症について

下痢症は誰にでも起こり得る症状ですが、一過性のウイルス感染から炎症性腸疾患や大腸がんまで様々な原因が潜んでいます

下痢症の原因と治療

消化器専門医が診断・原因特定から治療まで

下痢症は、誰にでも起こり得る一般的な症状ですが、その背景には、一過性のウイルス感染から、炎症性腸疾患や大腸がんなど重篤な腸の病気まで、様々な原因が潜んでいます。

このページでは、下痢症の専門的な定義から、特に注意すべき危険な兆候、そして原因に応じた適切な治療法について詳しく解説します。

  • 🩺 消化器専門医
  • 🔬 原因特定
  • 🚉 渋谷から一駅
  • 🏥 入院対応可

🚨 こんな症状は要注意!

以下の症状がひとつでも当てはまる場合は、医療機関を受診してください。

緊急症状の目安
  • 🩸 血便・黒色便
  • 🔄 長引く下痢(2週間以上)
  • 😣 我慢できない腹痛
  • 📉 原因不明の体重減少
  • 🌡️ 発熱(38.5°C以上)
  • 💧 脱水症状(めまい・尿が出ない)

💊 下痢症の分類

下痢は、「便の性状が通常時よりも軟らかくなる変化が持続し、通常24時間以内に少なくとも3回以上排泄されること」と定義されます。これは、腸における水分吸収の障害や、腸管からの過剰な水分分泌の増加を反映した状態です。

下痢の持続期間を確認することは、原因の特定と治療方針を決める上で極めて重要です。

急性下痢症

14日以内

下痢が始まってから14日以内のものを指します。ほとんどの場合、ウイルスや細菌による感染性の下痢です。

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📅

慢性下痢症

4週間以上

下痢が4週間以上続く場合を指します。過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などの器質的な疾患の可能性が高まります。

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📅

予約方法

消化器内科の予約方法

電話予約

03-3424-0705

受付:月~土 8:30~17:30

診療の流れ

診療の流れ
STEP 1

👨‍⚕️ 診察

下痢の持続期間、食事歴(生肉、生魚など)、周囲の流行状況、海外渡航歴などを詳しく問診し、脱水の程度やお腹の状態を確認します。

STEP 2

🔬 検査

必要に応じて、便検査(細菌培養など)や血液検査を行い、炎症の程度や脱水状態を確認します。

※全てのケースで便検査を行うわけではありません。

STEP 3

📋 診断

症状と検査結果から、ウイルス性か細菌性か、あるいは急性か慢性か(他の疾患の可能性)を総合的に診断します。

STEP 4

💊 治療

脱水の改善を最優先とし、整腸剤の処方や、重症度に応じた対症療法を行います。

🔬 検査と診断

検査と診断

症状や経過に応じて以下の検査を行います。

👨‍⚕️ 問診・身体診察

医師が下痢の性状(回数、色、血便の有無など)や随伴症状(腹痛、発熱、嘔吐)、食事歴、海外渡航歴、服用中の薬について詳しく質問します。お腹の触診で痛む場所や張り具合を確認し、脱水の兆候(皮膚の乾燥など)も診察します。

🩸 血液検査

炎症反応(CRP)や白血球数で感染や炎症の程度を評価します。また、下痢による脱水の影響(電解質異常、腎機能など)や、栄養状態(アルブミンなど)も確認します。

💩 便検査

  • 便培養検査: 細菌性食中毒の原因菌(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌など)を特定します。
  • 抗原検査・毒素検査: 必要に応じて、ノロウイルスなどのウイルス抗原や、クロストリディオイデス・ディフィシル(CD)の毒素を調べます。
  • 便潜血検査: 目に見えない出血がないかを確認します(主に慢性下痢症や大腸がん検診で実施)。

📷 レントゲン検査

腹痛が強い場合や腹部膨満感がある場合に、腸閉塞(イレウス)の兆候である腸管内のガスの溜まり具合などを確認します。

🔬 腹部超音波(エコー)・CT検査

下痢に加え、激しい腹痛や発熱がある場合に行います。腸管の壁が厚くなっていないか(炎症の程度)、膿が溜まっていないか(膿瘍)、憩室炎や虫垂炎などの他の病気がないかを詳しく調べます。

🔍 大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)

内視鏡を使い、直腸から盲腸までの粘膜を直接観察します。以下のような場合に特に重要です。

  • 慢性下痢症: 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)や微小大腸炎の診断。
  • 血便: 出血源の特定、大腸がんやポリープの発見。
  • 感染性腸炎: 重症例や診断がつきにくい場合(偽膜性大腸炎、アメーバ赤痢、サイトメガロウイルス腸炎など)の確定診断。

🦠 感染性下痢症の予防

感染性下痢症の予防

下痢症は日常生活において頻繁に遭遇する症状であり、適切な予防策を講じることで感染リスクを大幅に低減できます。

🧼 手洗いの重要性

石鹸と流水を使った適切な手洗いは、下痢症の予防において最も効果的な手段です。

  • 食事の前後
  • トイレ使用後
  • 調理前および調理中(特に生肉を扱った後)
  • おむつ交換後
  • 外出から帰宅後

💡 正しい手洗いの方法

石鹸を使い、手のひら・手の甲・指の間・爪の間・手首まで、最低20秒間かけて丁寧に洗いましょう。

🍳 食中毒の予防

食品の取り扱いと調理方法に注意することで、食中毒を防ぐことができます。

  • 生肉・生卵と調理済食品の交差汚染を防ぐ
  • 肉類は中心温度75℃以上で1分以上加熱する
  • 調理後は速やかに冷蔵保存する(2時間以内)
  • 冷蔵庫内の温度を10℃以下に保つ

✈️ 旅行者下痢症の予防

衛生状態が十分でない地域への旅行時には、飲食物に注意が必要です。

推奨される飲食物

  • 密閉されたボトル入りの飲料水
  • 煮沸または消毒された水
  • 熱々の状態で提供される調理済食品
  • 自身で皮をむいた新鮮な果物や野菜

避けるべき飲食物

  • 水道水や氷
  • 生野菜やカットフルーツ
  • 路上の屋台で売られている食品
  • 殺菌処理されていない乳製品
  • 生の魚介類や肉類

🏥 重症化を防ぐために

古畑病院 消化器内科

下痢はありふれた症状ですが、その持続期間や随伴症状によっては、専門的な診断と治療が必須の重篤な疾患が隠れている可能性があります。

特に、血便、高熱、脱水症状、または下痢が4週間以上続く慢性下痢症の場合は、自己判断せず、速やかに古畑病院の消化器内科にご相談ください。

🩺 当院では、早期に適切な原因を特定し、患者さんの健康な日常生活を取り戻すためのサポートをいたします。

❓よくあるご質問

📋 感染・リスク・予防期間

A

手洗いの徹底が基本です。タオルや食器の共用は避けましょう。入浴は患者さんが最後にし、トイレの後は蓋をしてから流すようにしてください。

A

症状が治まっても、最低1週間〜1ヶ月程度は続けてください。

下痢や嘔吐が止まって元気になっても、ウイルスや細菌は体内に残り、便の中に排出され続けています。特にノロウイルスは、症状消失後も1週間〜1ヶ月程度、便中に排出されることが知られています。

家庭内: 症状消失後も最低1週間は、トイレ後の手洗い・消毒を徹底し、タオルの共用は避けましょう。

仕事: 食品を扱う方や医療・介護従事者は、職場の規定(検便で陰性確認など)に従ってください。

A

一般的なアルコール消毒薬はノロウイルスには効果が薄いです。石鹸による流水手洗いが最も有効です。環境消毒には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を使用します。

💊 治療・食事

A

自己判断での服用は避けてください。ウイルスや細菌を体外に排出する反応を止めてしまい、症状が悪化する可能性があります。医師の指示に従ってください。

A

無理に食べる必要はありません。まずは水分と塩分の補給(経口補水液など)を最優先してください。固形物は食欲が出てからで大丈夫です。

A

多くの感染性腸炎(特にウイルス性)には抗生物質は無効であり、かえって腸内細菌のバランスを崩すことがあります。細菌性で症状が重い場合など、医師が必要と判断した場合のみ処方します。

A

下痢や嘔吐などの症状が治まり、普段通りの食事が摂れるようになれば可能です。

ただし、調理従事者や医療・介護職の方は、完全に排菌するまで(検便で陰性確認など)就業制限が必要な場合があります。職場の方針も確認してください。

参考文献

  1. Shane AL, et al. 2017 Infectious Diseases Society of America Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Infectious Diarrhea. Clin Infect Dis. 2017.
  2. Riddle MS, et al. ACG Clinical Guideline: Diagnosis, Treatment, and Prevention of Acute Diarrheal Infections in Adults. Am J Gastroenterol. 2016.
  3. 日本感染症学会「感染性腸炎の診療ガイドライン」

✍️ この記事を書いた人

古畑 司 - 消化器病専門医・内視鏡専門医
古畑 司
(ふるはた つかさ)
保有資格
消化器病専門医 内視鏡専門医 総合内科専門医 肝臓専門医
消化器病専門医、内視鏡専門医に加え、総合内科専門医、肝臓専門医としての知見も活かし、患者さんの腹痛の原因を専門家として「的確に診断・治療」することに尽力しております。