【専門医が解説】長引く下痢、その原因と対処法

慢性下痢は4週間以上下痢が続く状態で、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、大腸がんなどが原因の可能性があります。当院では消化器専門医が適切な検査と治療をご提案いたします

慢性下痢について

消化器専門医による原因の特定・適切な治療・大腸がんの早期発見

「最近、お腹の調子がずっと悪いな…」「下痢がもう何週間も続いている」…そんな症状でお悩みではありませんか?それは、単なる一時的な不調ではなく、適切な治療が必要な「慢性下痢」のサインかもしれません。

このページでは、消化器の専門医として、長引く下痢とはどのような状態か、どのような原因が考えられるのか、そして病院を受診すべき危険なサインや検査・治療の流れについて、解説します。

  • 👨‍⚕️ 専門医
  • 🔬 大腸カメラ
  • 💊 薬物療法
  • 🥗 生活指導

💊 下痢症の分類

下痢は、「便の性状が通常時よりも軟らかくなる変化が持続し、通常24時間以内に少なくとも3回以上排泄されること」と定義されます。これは、腸における水分吸収の障害や、腸管からの過剰な水分分泌の増加を反映した状態です。

下痢の持続期間を確認することは、原因の特定と治療方針を決める上で極めて重要です。

急性下痢症 14日以内

下痢が始まってから14日以内のものを指します。ほとんどの場合、ウイルスや細菌による感染性の下痢です。

詳しく見る ›

📅 慢性下痢症 4週間以上

下痢が4週間以上続く場合を指します。過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などの器質的な疾患の可能性が高まります。

🚨 危険なサイン!

以下の症状が一つでも当てはまる場合は、背景に炎症性腸疾患や大腸がんなどの重要な病気が隠れている可能性があります。自己判断せず、速やかに消化器内科を受診してください。

⚠️ 重要

上記の症状は「警告徴候(アラームサイン)」と呼ばれ、一つでも該当する場合は大腸カメラなどの精密検査が強く推奨されます。早期発見・早期治療が、あなたの健康を守る第一歩です。

📅

予約方法

消化器内科の予約方法

電話予約

03-3424-0705

受付:月~土 8:30~17:30

🔍 主な原因

慢性下痢の原因は人それぞれです。生活習慣によるものから、専門的な治療が必要な病気まで、様々なものが考えられます。

🍽️ 食事や体質による影響

普段なにげなく食べているものが、実はお腹に合っていないケースです。アレルギーとは異なり、消化する力が弱いために起こります。

腸を刺激しやすい嗜好品

脂っこい食事(ラーメン、揚げ物など):消化が悪く、腸の負担になります。

刺激物(コーヒー、お酒、激辛料理):腸の動きを無理やり早めたり、水分の吸収を邪魔したりして、下痢を引き起こします。

🌾 お腹で発酵しやすい食品(FODMAPs:フォドマップ)

パン(小麦)、納豆や豆腐(豆類)、玉ねぎ、一部の果物、人工甘味料などのことです。これらに含まれる糖質は小腸で吸収されにくく、大腸まで届いて「ガス」や「水分」を過剰に発生させるため、下痢やお腹の張りの原因になります。

🥛 牛乳・乳製品(乳糖不耐症)

牛乳に含まれる成分(乳糖)を分解する酵素が少ない体質です。乳製品をとると、直後にお腹がゴロゴロしたり下痢をしたりします。「大人になってから牛乳が苦手になった」という方もこれに当てはまることがあります。

🍞 パンやパスタ(グルテン関連)

小麦製品のモチモチした成分「グルテン」に対し、体が過剰に反応して腸が荒れてしまう病気(セリアック病)や体質です。パンや麺類を食べた後に不調を感じるのが特徴です。

🧠 過敏性腸症候群(IBS)

慢性的な下痢の原因として最も多い疾患の一つです。大腸カメラや血液検査では異常が見つからないにもかかわらず、ストレスや特定の食事をきっかけに腸が過敏に反応し、腹痛を伴う下痢を繰り返します。特に朝の通勤・通学時や食後に症状が出やすく、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

🔥 炎症性腸疾患(IBD)

腸に慢性の炎症(ただれや潰瘍)が起こる病気で、「潰瘍性大腸炎」「クローン病」が代表的です。腹痛、血便、体重減少、発熱などを伴うことが多く、専門的な治療が必要です。

🎗️ 大腸がん

特に50歳以上の方で、血便、便潜血陽性や便が細くなるなどの症状がある場合は大腸がんを除外する必要があります。

🫁 慢性膵炎

すい臓の機能が低下し、特に脂肪を分解する力が弱まる病気です。その結果、白っぽくて脂っこい便(脂肪便)が出ることがあります。

🔬 好酸球性胃腸炎

アレルギーに関係する細胞が、胃や腸の壁に集まって炎症を起こす、比較的まれな病気です。腹痛や吐き気とともに下痢が続くことがあります。

🦋 甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に出る病気です。腸の動きも異常に速くなり、下痢を引き起こします。動悸などを伴うことがあります。

🦠 慢性的な感染症

特定の細菌(クロストリディオイデス・ディフィシルなど)やウイルス、寄生虫による感染が長引くことがあります。

💊 薬の副作用

普段飲んでいるお薬が原因となっていることも少なくありません。

  • 💊 抗生物質
  • 💊 痛み止めの一部(NSAIDsと呼ばれるもの)
  • 💊 糖尿病の薬(メトホルミンなど)
  • 💊 マグネシウムを含むサプリメントや便秘薬

🏥 診療の流れ

STEP 1

👨‍⚕️ 問診

いつから症状があるか、どんな食事の後に悪くなるか、普段飲んでいるお薬、海外旅行の有無などを伺い、原因を推定します。

STEP 2

🩸 基本検査

  • 🩸
    血液検査

    体の中に炎症がないか、貧血や栄養状態(アルブミンなど)、甲状腺ホルモンなどを確認します。

  • 🧫
    便培養

    細菌などが原因と考えられる場合は、原因菌を特定するため便培養を行います。

STEP 3

🔬 精密検査(CT・内視鏡)

病気が疑われる場合、確定診断のために画像検査を行います。

  • 📷
    CT検査

    腸の壁の厚さ、膵臓の状態、リンパ節などお腹全体を広く調べます。

  • 🔬
    大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

    腸の内側を直接観察できる、最も重要な検査です。もし怪しい部分があれば、その場で組織を採取(生検)して顕微鏡で詳しく調べることができます。

STEP 4

💊 治療開始

特定された原因に基づき、お一人おひとりに合った治療を行います。

💊 治療について

  • 🏥 原因となる病気の治療

    大腸がん、大腸ポリープ、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患や甲状腺機能亢進症など、原因が特定された場合はその病気に対する専門的な治療を開始します。

  • 💊 お薬の見直し・中止

    薬の副作用が原因であれば、かかりつけ医と連携して薬の変更や中止を検討します。

  • 🥗 生活習慣・食事指導

    食事が原因の場合は、原因となりやすい食品(FODMAPsなど)を避ける食事療法について具体的にアドバイスします。

💡 つらい下痢から解放へ

古畑病院 外観

4週間以上続く慢性下痢は、日常生活の質(QOL)を大きく低下させるつらい症状であると同時に、体からの重要なサインでもあります。「もともとお腹が弱い体質だから」と諦めずに、その原因を正確に特定することが、解決への第一歩です。

特に「警報サイン」がある場合は、ためらわずにお気軽に当院へご相談ください。的確な診断と治療によって、つらい症状から解放され、快適な日常を取り戻すことができます。

経験豊富な専門医が担当し、大腸カメラや土曜診療にも対応しています。池尻大橋徒歩3分、渋谷から一駅、三軒茶屋・中目黒からも好アクセスです。スタッフ一同、皆様のご来院を心よりお待ちしております。

よくあるご質問

Q CT検査では何がわかりますか? 大腸カメラとの違いは?
A

大腸カメラが腸の「内側(粘膜)」を直接観察するのに対し、CT検査は腸の「外側」や「壁の厚み」、さらに「他の臓器(すい臓など)」まで含めて、お腹全体を広くチェックできるのが特徴です。

特に以下のケースで力を発揮します。

  • 激しい腹痛や発熱がある時:腸以外の病気や、腸の炎症がどれくらい広がっているかを確認します。
  • 緊急性の高い異常:腸が詰まったり(腸閉塞)、穴が開いたりしていないかを即座に見つけます。
  • カメラで見えない場所:内視鏡が届きにくい小腸の奥や、お腹のリンパ節の状態などを調べます。
Q 大腸カメラは痛いですか?
A

当院では、鎮静剤を使用して眠っているような状態で、苦痛なく検査を受けていただくことが可能です。「以前受けて辛かった」という方も、ぜひ一度ご相談ください。

Q ストレスだけでも下痢は続きますか?
A

はい、続きます。「過敏性腸症候群(IBS)」がその代表です。ストレスによって脳と腸の連携(脳腸相関)が乱れ、腸が過敏に反応してしまいます。適切なお薬で症状を改善できます。

Q 市販の下痢止めを飲み続けてもいいですか?
A

一時的な使用は問題ありませんが、長く飲み続けるのはおすすめしません。特にウイルス性の腸炎だった場合、無理に止めると悪い菌が体内に留まって悪化することがあります。原因不明の下痢が続く場合は、必ず受診してください。

Q 人にうつる可能性はありますか?
A

原因によります。ウイルスや細菌性の場合は人にうつる可能性がありますが、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患などはうつりません。念のため手洗いを徹底し、タオルの共用を避けると安心です。

参考文献

  1. 日本消化管学会(編): 便通異常症診療ガイドライン2023 慢性下痢症. 南江堂, 2023.
  2. Schiller LR, Pardi DS, Sellin JH. Chronic Diarrhea: Diagnosis and Management. Clin Gastroenterol Hepatol. 2017;15(2):182-193.
  3. Arasaradnam RP, Brown S, Forbes A, et al. Guidelines for the investigation of chronic diarrhoea in adults: British Society of Gastroenterology, 3rd edition. Gut. 2018;67(8):1380-1399.
  4. Lacy BE, Mearin F, Chang L, et al. Bowel Disorders. Gastroenterology. 2016;150(6):1393-1407. (Rome IV Criteria)
  5. Gibson PR, Shepherd SJ. Evidence-based dietary management of functional gastrointestinal symptoms: The FODMAP approach. J Gastroenterol Hepatol. 2010;25(2):252-258.

✍️ この記事を書いた人

古畑 司 - 消化器病専門医・内視鏡専門医

古畑 司(ふるはた つかさ)

保有資格

消化器病専門医 内視鏡専門医 総合内科専門医 肝臓専門医

消化器病専門医、内視鏡専門医に加え、総合内科専門医、肝臓専門医としての知見も活かし、患者さんの症状を専門家として「的確に診断・治療」することに尽力しております。