専門医が解説!危険な腹痛の見分け方と、すぐに病院に行くべき症状について

つらい腹痛にお悩みの方へ

 おなかが痛むのは、「胃や腸の調子が悪いですよ」という体からの大切なサインです。このサインの原因を突き止め、治療する「おなかの専門家」、それが消化器内科です。

 一口に「腹痛」といっても、その原因は様々です。軽い胃腸炎から、胃潰瘍、虫垂炎、さらには緊急を要する病気まで隠れている可能性があります。「いつものことだから」と我慢せず、消化器の専門医に相談することが、早期発見と安心への第一歩です。

危険な腹痛のサイン
すぐに病院へ行くべき症状

😖 激しい腹痛

🌡️ 37.5度以上の発熱

😵 ぐったりして動けない

🤢 頻回な嘔吐

🩸 吐血・黒色便・血便を認めた。

⚠️ 要注意な患者さん

  • 妊娠中の方
     通常とは異なる原因も考えられるため、早めにかかりつけ医にご相談ください。
  • 手術後の方
     手術に関連した合併症の可能性も考慮します。
  • ご高齢の方
     症状がはっきりと出にくく、診断が遅れると重症化しやすいため注意が必要です。
  • 糖尿病、腎臓病、免疫が低下している方
     感染症などが重症化しやすいため、早めの受診が大切です。

痛みの場所で考える
腹痛の原因となる主な病気

痛む場所は、原因を特定するための重要な手がかりになります。

📍 右上腹部の痛み

  • 胆のうの病気(胆石、胆のう炎など)
  • 肝臓の病気(肝炎など)

📍 みぞおちの痛み

  • 胃や十二指腸の病気(胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎など)
  • すい臓の病気(膵炎など)
  • 虫垂炎

⚠️ 心臓の病気(心筋梗塞など)が原因のこともあり注意が必要です。

📍 左上腹部の痛み

  • すい臓の病気(膵炎など)
  • 脾臓の病気

📍 下腹部の痛み

  • 虫垂炎(いわゆる盲腸、多くは右下腹部)
  • 憩室炎
  • 急性胃腸炎急性下痢症
  • 尿路の病気(腎結石、膀胱炎など)
  • 女性特有の病気:子宮や卵巣の病気(子宮外妊娠、卵巣のう腫、骨盤内炎症性疾患など)

🔄 場所がはっきりしない痛み

腹痛を引き起こす消化器の病気一覧

食道・胃・十二指腸の病気

病名 症状
逆流性食道炎 胸やけ、呑酸、胸痛、長引く咳、のどの違和感
食道がん 飲み込む際のつかえ感や違和感、胸の痛み、体重減少、声のかすれ
急性胃炎 急なみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐
機能性ディスペプシア 検査で異常がないにも関わらず、胃もたれ、早期飽満感、みぞおちの痛みが続く
胃がん 初期は無症状が多く、進行するとみぞおちの痛み、食欲不振、体重減少、黒色便が現れる
胃・十二指腸潰瘍 空腹時や夜間のみぞおちの痛み、胃もたれ、黒色便(タール便)、吐血

大腸の病気

病名 症状
大腸がん 血便、便通異常(便秘・下痢)、便が細くなる、腹痛、体重減少など
便秘症 排便回数の減少、硬い便、残便感、腹部膨満感、腹痛など
急性下痢症 突然の水様便や軟便、腹痛、嘔吐、発熱
慢性下痢症 3週間以上続く下痢、腹痛、体重減少など
虚血性腸炎 突然の激しい腹痛(特に左下腹部)、下痢、血便
過敏性腸症候群 慢性的な腹痛や腹部不快感と、それに伴う便秘や下痢などの便通異常
虫垂炎 みぞおちから右下腹部へ移動する痛み、吐き気、嘔吐、発熱
憩室炎 腹痛、発熱、吐き気
憩室出血 突然の血便(鮮血や暗赤色便)、ふらつき
潰瘍性大腸炎 粘血便、下痢、腹痛が良くなったり、悪くなったりを繰り返す
クローン病 慢性的で再発性の腹痛、下痢、血便、体重減少、発熱、倦怠感
腸閉塞 激しい腹痛、嘔吐、腹部膨満感、便秘

肝臓・胆嚢・膵臓の病気

病名 症状
ウイルス性肝炎
(B型・C型)
急性期は倦怠感、食欲不振、黄疸などが出ることがあるが、慢性化すると多くは無症状
脂肪肝
(NAFLD/NASH)
ほとんどが無症状だが、進行すると倦怠感や右上腹部の違和感が出ることがある
アルコール性肝障害 初期は無症状が多く、飲み続けると倦怠感、食欲不振、黄疸、腹水などが現れる
胆嚢ポリープ ほとんどが無症状で、健康診断の超音波検査などで偶然発見されることが多い
膵臓がん 進行すると腹痛、背中の痛み、体重減少、黄疸などが現れるが、初期は無症状
急性膵炎 激しい上腹部痛、背部痛、嘔吐、発熱
胆嚢炎・胆管炎 右上腹部痛、発熱、黄疸

腹痛の診断方法と検査の流れ

 医師による診察(問診・身体診察)

  • いつから、どこが、どのように痛むか、他に症状はないかなど、詳しくお話を伺います。
  • お腹を触り、痛みの程度を確認します

腹痛の検査

池尻大橋で腹痛の診療なら
古畑病院が選ばれる4つの特徴

①専門医が腹痛の原因を的確に診断

 腹痛の診断で最も重要なのは、原因を正確に見極めることです。当院では、消化器病や内視鏡の専門医資格を持つ経験豊富な医師が、丁寧な問診と診察を行います。おなかの症状だけでなく、背景にある生活習慣病なども含めて総合的に診察し、考えられる病気を的確に判断して最適な治療をご提案します。

②CT・内視鏡による迅速な検査で早く楽に

「おなかの中」を詳しく調べるため、当院ではCTや内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)を院内に完備しています。検査が必要と判断した場合、他の施設をご予約いただく必要はありません。院内で速やかに検査を行うことで、診断までの時間を短縮し、一日も早い症状の改善を目指します。

③痛みがつらい時も通いやすい好立地

 おなかが痛い時に、長い時間移動するのは大変なご負担です。当院は、東急田園都市線「池尻大橋駅」から徒歩3分、渋谷駅からも一駅です。三軒茶屋や中目黒方面からのアクセスも良く、通院に便利な立地ですので、体調が優れない時でも無理なくご来院いただけます。

④急な入院にも対応できる安心の医療体制

 腹痛の原因によっては、絶食安静や点滴治療のために入院が必要となる場合があります。一般的なクリニックとは異なり、当院は入院設備を完備しているため、夜間や休日に症状が悪化した場合でもスムーズな対応が可能です。外来から入院まで同じ医師が担当し、安心して療養に専念いただけます。

👨‍⚕️ 医師のご紹介

専門医による質の高い診療を提供します

古畑 司 - 内視鏡専門医

古畑 司

(ふるはた つかさ)

消化器内科・内視鏡・肝臓専門医として、専門知識に基づいた的確な診断・治療と、患者さんの負担に配慮した内視鏡検査に尽力しています。患者さんお一人おひとりに寄り添い、安心して検査や治療を受けていただけるよう、最新の知見と技術を積極的に取り入れ、質の高い医療を提供します。

📋 経歴

2010年4月 虎の門病院 消化器内科(胃腸科)
2018年4月 古畑病院

🎓 保有する資格

総合内科専門医 内視鏡専門医 消化器病専門医 肝臓専門医

古畑 悦子

(ふるはた えつこ)

患者さんが安心して検査を受けられるよう、女性ならではのきめ細やかな配慮とコミュニケーションを大切にしております。初めての方や検査に抵抗がある方も、お気軽にご相談ください。皆さんの健康をしっかり支えられるよう、真摯に取り組んでまいります。

🎓 保有する資格

総合内科専門医 内視鏡専門医 消化器病専門医

腹痛でよくあるご質問

Q.受診や検査の前に食事はどうすればいいですか?

 症状によっては、診察当日に腹部エコーや内視鏡などの検査をご提案することがあります。当日の検査をスムーズに行うため、朝食は固形物をとらずにご来院いただくことをお勧めします。特に、胃カメラや腹部エコー検査の場合は朝からの絶食が、大腸カメラの場合は数日前からの食事準備が必要となります。
 なお、糖尿病で治療中の方は、食事を抜くと低血糖を起こす危険があるため、必ず事前にご相談ください。

Q.費用はどのくらいかかりますか?

 費用については、こちらをご確認ください。

おわりに:つらい腹痛は我慢せず専門医へ

 お腹の痛みはありふれた症状ですが、その原因は軽いものから、一刻を争う病気まで多岐にわたります。特に「いつもと違う痛み」や「我慢できないほどの激しい痛み」は、体が発する重要なサインかもしれません。
 気になる症状があれば自己判断はせず、当院の消化器内科にお気軽にご相談ください。

痛む場所は、原因を特定するための重要な手がかりになります。

  • 右上(右の肋骨の下あたり)の痛み
    • 胆のうの病気(胆石、胆のう炎など)
    • 肝臓の病気(肝炎など)
  • みぞおち(お腹の真ん中上部)の痛み
    • 胃や十二指腸の病気(胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎など)
    • すい臓の病気(膵炎など)
    • 心臓の病気(心筋梗塞など)が原因のこともあり注意が必要です。
  • 左上(左の肋骨の下あたり)の痛み
    • すい臓の病気(膵炎など)
    • 脾臓の病気
  • 下腹部の痛み
    • 虫垂炎(いわゆる盲腸、多くは右下腹部)
    • 腸の病気(憩室炎、感染性腸炎など)
    • 尿路の病気(腎結石、膀胱炎など)
    • 女性特有の病気:子宮や卵巣の病気(子宮外妊娠、卵巣のう腫、骨盤内炎症性疾患など)
  • お腹全体が痛い、または場所がはっきりしない痛み
    • ウイルスや細菌による胃腸炎、食中毒
    • 腸の動きの問題(腸閉塞、過敏性腸症候群など)
    • 便秘


お腹の中には、痛みを感じるためのセンサーが張り巡らされています。このセンサーが、臓器が強く引き伸ばされたり、炎症によって発生する特定の物質で刺激されたりすると、その信号が脳に伝わって「痛み」として認識されます。
 例えば、胃は普段とても丈夫ですが、ひとたび胃炎などで炎症を起こすと、普段なら何でもないような食べ物や胃酸の刺激でも、強く痛みを感じるようになります。
 また、お腹の痛みが厄介なのは、痛む場所がはっきりとせず、「このあたり全体が痛い」と感じやすいことです。これは、痛みを伝える神経の仕組みによるものです。さらに、胆石が原因で右肩が痛むように、問題のある場所から離れたところが痛む「関連痛」という現象もあります。
 このため、お医者さんは痛む場所だけでなく、痛みの種類や他の症状を詳しくお伺いし、原因を慎重に探っていくのです。

以下の症状がある場合は、我慢せずに速やかに当院のようにCTのある医療機関を受診してください

  • 歩くとお腹が響く
  • 少しおなかをさわたっただけで、飛び跳ねるぐらい痛い。
  • これまでに経験したことのないような激しい痛み
  • 冷や汗を伴う、顔面蒼白になるほどの痛み
  • 37.5度以上の発熱
  • 意識が遠のき、ぐったりして動けない
  • お腹が板のように硬く、張っている
  • 頻繁に吐き続ける
  • 血を吐いた
  • 血便がでた
  • 黒色便がでた。

こんな方はとくに注意が必要です。

  • 妊娠中の方:通常とは異なる原因も考えられるため、早めにかかりつけ医にご相談ください。
  • 手術後の方:手術に関連した合併症の可能性も考慮します。
  • ご高齢の方:症状がはっきりと出にく、診断が遅れると重症化しやすいため注意が必要です。
  • 持病をお持ちの方(糖尿病、肝臓病、腎臓病、免疫を抑える薬を飲んでいる方など):感染症などが重症化しやすいため、早めの受診が大切です。

腹痛はなぜおこる?

 お腹の中の痛みセンサーが、臓器の強い伸びや炎症物質の刺激で脳に信号を送り、痛みとして認識されます。痛む場所が曖昧なことや、胆石で右肩が痛むような離れた場所が痛む「関連痛」も特徴です。そのため医師は痛む場所だけでなく痛みの種類や他の症状も詳しく確認し、原因を探ります。