痛くない経鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」について
今年のインフルエンザ予防接種について、当院では従来の注射タイプに加え、鼻にスプレーするタイプの生ワクチン「フルミスト」を導入いたします。
注射が苦手な方や、受験生のお子様など、より高い予防効果を期待される方におすすめです。
フルミストの特徴
フルミストは、鼻の粘膜に直接スプレーするタイプの生ワクチンです。
- 痛みがほとんどありません 針を使わないため、注射の痛みが苦手なお子様への負担が軽減されます。
- 高い予防効果が期待できます 鼻の粘膜と全身の両方で免疫を作るため、従来の注射ワクチンに比べて高い予防効果(約80%)が期待できます。また、流行株とウイルスの型が多少異なっていても効果が期待できるのが特徴です。
- 原則1回の接種で完了します 13歳未満の方でも、原則として1回の接種で済みます。
接種対象と方法
- 対象年齢:2歳以上 19歳未満の方
- 接種方法:両方の鼻の中に1回ずつスプレーします
接種費用
8,800円(税込み)
従来の注射ワクチンとの違い
- タイプ フルミスト:生ワクチン(弱毒化) 注射:不活化ワクチン
- 痛み フルミスト:ほとんどなし 注射:針を刺す痛みあり
- 接種回数 フルミスト:原則1回 注射:13歳未満は2回、13歳以上は1回
💉 従来ワクチンとの違い
| 項目 | フルミスト(点鼻) | 従来の注射ワクチン |
|---|---|---|
| タイプ | 生ワクチン(弱毒化) | 不活化ワクチン |
| 接種方法 | 鼻の中に噴霧 | 皮下注射 |
| 痛み | ほとんどなし | 針を刺す痛みあり |
| 免疫の仕組み | 鼻の粘膜と全身 | 主に血液中 |
| 主な副反応 | 鼻水、鼻づまり:60% 咳嗽:27.8% 咽頭痛:17.9% 頭痛:11.2% 発熱:6% |
接種部位の腫れ、赤み、痛み |
| 接種回数 | 原則1回 (※条件により2回) |
13歳未満は2回 13歳以上は1回 |
| 流行株との一致 | 多少異なっていても効果期待 | 型が一致した場合に高い効果 |
| 予防効果 | 約80% | 約65% |
接種できない方
以下の方はフルミストを接種できません。従来の注射ワクチンをご検討ください。
- 明らかに熱がある方(37.5℃以上)
- 重い急性の病気にかかっている方
- 免疫機能に異常がある方、または免疫を抑える治療を受けている方
- 妊娠している方
- 重度のゼラチンアレルギーなど、ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
- 重度のぜんそくがある方、現在ぜんそくの発作が出ている方
接種後の注意点・副反応について
接種後、以下のような症状が出ることがありますが、多くは数日で自然に軽快します。
- 主な症状:鼻水・鼻づまり(約60%)、咳、のどの痛み、微熱など
- 接種後1~2週間は、ワクチンウイルスが鼻から排出される可能性があります。重度の免疫不全の方(抗がん剤治療中の方など)との密接な接触は避けてください。
📅 予約方法
ご希望の方は、お電話にてお申し込みください。
よくある質問(Q&A)
Q1. フルミストとはどのようなワクチンですか?
A. 鼻の中にスプレーを噴霧するタイプの「生ワクチン」です。従来の注射ワクチン(不活化ワクチン)とは異なり、鼻の粘膜に直接免疫をつけるため、ウイルスの侵入そのものを防ぐ効果や、流行する株が多少違っても効果が期待できるといった特徴があります。また、針を使わないため痛みがありません。
Q2. 接種できる年齢は?
A. 2歳以上 19歳未満の方が対象です。2歳未満の方は、海外の臨床試験で喘鳴(ゼーゼーする呼吸)や入院のリスクが増加した報告があるため接種できません。また、日本では19歳以上の方は承認された対象年齢外となります。
Q3. 何回接種する必要がありますか?
A. 基本的に1回です。左右の鼻の穴に1回ずつ、合計0.2mLを噴霧して完了します。従来の注射ワクチンは13歳未満では通常2回接種が必要ですが、フルミストは年齢にかかわらず1回で済むメリットがあります。
Q4. 妊娠中や授乳中でも接種できますか?
A. 妊婦の方は接種できません。フルミストは生きたウイルス(弱毒化されたもの)を使用しているため、妊婦への接種は禁忌(禁止)とされています。授乳中の方については、接種後1~2週間は乳児との密接な接触を可能な限り控える必要があるため、医師と相談のうえ、授乳の一時中断などを検討する必要があります。
Q5. 副反応にはどのようなものがありますか?
A. 鼻水や鼻づまりが最も多く見られます。日本の臨床試験では、約59%の方に鼻水・鼻づまりの症状が出ました。その他、咳、喉の痛み、頭痛、発熱など、風邪のような症状が出ることがありますが、通常は数日で治まります。稀にショックやアナフィラキシーなどの重大な副反応が起こる可能性もあります。
Q6. 喘息(ぜんそく)を持っていても接種できますか?
A. 必ず医師にご相談ください。重度の喘息がある方や、現在喘鳴(ゼーゼーする症状)がある方は、症状が悪化するおそれがあるため注意が必要です。状態によっては接種できない(注射のワクチンを推奨する)場合があります。
Q7. 家族に免疫が弱い人がいても大丈夫ですか?
A. 注意が必要です。接種後1~2週間は、鼻からワクチンウイルスが排出される可能性があります。健康な方への感染は稀ですが、重度の免疫不全者(造血幹細胞移植を受けている方など)が家族にいる場合は、接触を避ける必要があるため、フルミストではなく従来の注射ワクチンが推奨されます。
Q8. 卵アレルギーがあっても接種できますか?
A. 医師の判断によりますが、アナフィラキシーの経験がある方は接種できません。フルミストの製造過程には鶏卵が使用されており、成分中に微量の卵由来成分が含まれます。卵や鶏肉、ゼラチンに対してアナフィラキシー(重いアレルギー反応)を起こしたことがある方は接種できません。
Q9. インフルエンザの検査に影響しますか?
A. はい、影響する場合があります。接種後しばらくの間(約4週間以内)は、ウイルスが鼻の中に残っている可能性があるため、インフルエンザの迅速検査を行うと、病気にかかっていなくても「陽性」と反応してしまうことがあります。検査を受ける際は、フルミストを接種したことを必ず医師に伝えてください。
Q10. 他のワクチンとの同時接種は可能ですか?
A. 医師が必要と認めた場合は可能です。他のワクチンと同時に接種することに制限はありませんが、左右の鼻に噴霧するため、鼻水が多い時などは効果が落ちる可能性があるため日を改めることがあります。